ボッチだって 幸せ
ボッチのお釈迦様
かわいくてごめんという歌が、若い方の中で流行しています。
①可愛くてごめん
この歌は、自己肯定感満載の歌詞と、聞きやすい音階でできており、長期にわたり流行しています。
個人的にこの歌を仏説無量寿経を読む感覚で聞いています。
歌詞には、お釈迦様の行動に近いものが幾つかあり、特に大切だと思われた歌詞が、「ボッチだって幸せだもん」という歌詞です。
因みに、ボッチとは一人ぼっちのボッチで、孤独を表現する今の言葉です。
②ボッチのお釈迦様
お釈迦様の生涯を見てみると大切な時には、必ず一人ボッチになっています。
最初の一人ボッチは四門出遊で出てきます。
四門出遊とは書いて字のごとく、四つの門からのお出かけをするお話です。
引きこもりになった王子様を、家来の方々が何とか言いくるめてお出かけしたお話で何か素晴らしお話の様に思われますが、王様の命令で屁理屈が多く、引きこもりの厄介な王子様を何とかして、外の空気に触れさせようとした家来の方々が被った苦労のお話です。
③みんなでお出かけ
東門
最初に出かけたのは東の門です。
この門の外に居たのは、何処にでも居る老人でした。
初めて見る老人にお釈迦様は、これは何ですか?と家来に訊きました。
家来は老人ですと答えました。
何故あのような姿なのかと聞かれた家来は、歳を重ねたからだと答えました。
お釈迦様はしばらく考え込み、お城に帰りました。
南門
しばらくして、今度は南の門からお出かけしました。
門の外には、体調を崩した病人がいました。
初めて見る病人にお釈迦様は、これは何ですか?と家来に訊きました。
家来は病人ですと答えました。
何故あのように苦しんでいるのかと聞かれた家来は、病気になったからだと答えました。
お釈迦様はしばらく考え込み、お城に帰りました。
西門
西門またしばらくして、今度は西の門からお出かけしました。
門の外では、お葬式をしていました。
初めて見るお葬式にお釈迦様は、何をしているのか家来に訊きました。
家来は誰か身内が亡くなったのでしょうと答えました。
お釈迦様はしばらく考え込み、お城に帰りました。
④ボッチの北門
そんなある日、お釈迦様は夜中に北の門から一人、お城を抜け出しました。
門の外には一人の修行者がいました。
薄汚い恰好をしていましたが、変に生き生きした表情の修行者に、お釈迦様は何をしているのか自ら訊きました。
修行者は修行者をしていると答え、他の質問に対してもきちんとお釈迦様に回答をしました。
大切なのは、お釈迦様は一人でお城を抜け出し一人ボッチだったからこそ、修行者とお話ができたのではないでしょうか。
一人というのは寂しく不安もありますが、同時に総てを自分でしなくてはいけないので、すべての行動に対して手応えを得る事が出来ます。
ここに、一つの幸福があるのではないでしょうか。
⑤あれから20年
四門出遊から約20年後にお釈迦様は悟りを開きますが、この時も周囲の人からひどい事を言われてボッチになりました。
ボッチの原因は、お釈迦様は誰よりも努力をした結果、体調を崩してしまいました。
その姿を見かねたスジャータという美しい女性がお釈迦様のために牛乳粥を作り、提供しました。
その美しいスジャータからの牛乳粥をいただいた事が原因です。
「かわいくてごめん」にでてくる主人公と同じ様に、周囲からの嫉妬で仲間外れにされました。
幾ら厳しい修業をしたからと言っても、所詮は人です。
羨ましくて仕方がなかったのだと思います。
きれいな言葉を選んだようですが、道徳や倫理を他人に向けている時点で、薄汚い嫉妬する姿しかありません。
しかし、このボッチになった事で、周囲の目を気にする事なく、思い通りの修行ができる様になり、悟りを開く大切なきっかけになりました。
⑥ボッチをどう考える
一人ボッチは若い時には苦しい事だと思います。
私も昔から、仲間作りはあまり上手ではなく、嫌われる事の方が多い人生でしたので、寂しいという気持ちは良くわかります。
ボッチは寂しい状態ですが、同時に自分の歩幅で歩く事ができるので、楽といえば楽です。
しかし、この感覚がわかるようになったのは大人になってからです。
⑦ボッチだからできた
僧侶になりお経を読む中で分かった事は、お釈迦様には仲間は居ても、友達が居ない人です。
一人ボッチは寂しいですが、会社の社長も個人事業主や著名人も大方はボッチです。
若い方で現在ボッチの方には、経営者やお釈迦様の様な著名人になる可能性が高い存在です。
お念仏の教えは、総てを貪欲に自分の物にする発想を学ぶ事です。
ボッチを大切な人生経験にする事で、多くの人とは違う心の視野を手に入れる事ができます。
ボッチで見ているその世界は、有名な経営者や著名人に近い世界です。
まとめ みんなボッチ
仏説無量寿経には人の姿を人在世間 愛欲之中、獨生獨死 獨去獨來、當行至趣 苦樂之地とあります。
人は、ボッチで始まりボッチで終わると書かれています。
ボッチを引き受けることで、自分らしく生きる事ができるのも大切な事実です。